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ゴーストレストランとクラウドキッチンの違い|開業スタイルの選び方と収益の考え方

ゴーストレストランとクラウドキッチンの違い|開業スタイルの選び方と収益の考え方

「ゴーストレストラン」と「クラウドキッチン」は似た文脈で語られますが、選び方を間違えると物件契約や許可申請、オペレーション設計で遠回りになりがちです。
先に結論を言うと、ゴーストレストランはデリバリー専門の業態であり、クラウドキッチンはその運営に使う厨房施設です。

ただし重要なのは定義より、オーナー様の資金・人員体制・狙う売上規模に対して、どの始め方が最短で利益を残せるかです。
本記事では、開業スタイルの判断軸、利益を出すためのコスト設計、メニューと集客の実務、開業までの手順を整理します。

ゴーストレストランとクラウドキッチンの違いとは?

デリバリー市場では、「どこで作るか(場所)」と「どう売るか(業態)」を切り分けて考える必要があります。
ここを曖昧にしたまま進めると、想定していた営業許可の区分と合わない、受け渡し動線が悪く配達効率が落ちる、といった失点につながります。

まずは用語を整理し、次の章で「どのスタイルが現実的か」を具体的に選べる状態にします。

ゴーストレストランとクラウドキッチンの決定的な違い

従来の飲食店は、店舗(客席)と料理の提供形態が一体でした。
一方、デリバリーではこの前提が崩れ、厨房と店舗名(ブランド)を分離して運営できます。

ゴーストレストランは「デリバリー専門の業態」、クラウドキッチンは「調理に特化した厨房施設」です。
関係性としては「クラウドキッチンという場所で、ゴーストレストランという店を営む」と整理すると分かりやすくなります。

なお、ゴーストレストランはクラウドキッチンに限らず、既存店舗の厨房や自社で確保した物件でも運営できます。
どの厨房で運用するかは、家賃・動線・営業時間制約・契約条件で最適解が変わります。

シェアキッチンとバーチャルレストランなど、関連用語の整理

似た言葉が多く、情報収集で混乱しやすいポイントです。
用途と運用の違いを押さえると判断が早くなります。

  • シェアキッチン:厨房設備を複数者で共有する形態。時間貸しなど制約がある代わりに初期負担を抑えやすい
  • バーチャルレストラン:既存店がデリバリーアプリ上で別ブランド名で営業する運用(例:居酒屋が唐揚げ専門店として出店)

クラウドキッチンはシェアキッチン的な運用を含むことがありますが、契約単位や設備専有の有無、利用時間の制限など条件は施設ごとに差があります。
内見時は「受け渡し動線」「ゴミ処理」「Wi-Fi」「稼働可能時間」を必ず確認してください。

どの開業スタイルを選ぶべき?状況別の判断軸

ここからは、オーナー様の状況に合わせて現実的なスタート地点を選びます。
判断の基準は「厨房があるか」「追加投資をどこまで許容できるか」「運営に割ける人員がいるか」です。

同じデリバリーでも、既存店活用と新規入居ではコスト構造が大きく変わります。
以下の3タイプで、自店舗の状況に近いものから見ていきましょう。

実店舗あり・厨房に余裕がある場合:既存厨房でゴーストレストラン

すでに飲食店を運営しているなら、まずは既存厨房の稼働率を上げる形が堅実です。
追加の家賃や大きな設備投資を避けつつ、デリバリー売上を積み増しできます。

狙い目はアイドルタイム(例:14:00〜17:00)や人員に余裕が出る時間帯です。
既存営業に影響が出ない範囲で、調理・梱包の導線を最短化して回す設計がポイントになります。

店舗なし・低資金で独立/副業を始めたい場合:クラウドキッチン

店舗を持たずに始めるなら、クラウドキッチン入居は初期費用を抑えやすい選択肢です。
客席が不要なため、立地コストを背負わずにデリバリー需要のあるエリアへ寄せられます。

一方で、家賃・共益費・ルール(営業時間や搬入動線など)は固定でかかります。
月商が伸びるまでの運転資金を確保し、撤退ラインを先に決めておくと失血を防げます。

店舗なし・資金に余裕がある/自由度重視:自社物件でデリバリー専門店

資金に余裕があり、運用の自由度を最大化したい場合は、自社で物件を借りてデリバリー専用店にする手もあります。
営業時間制限が少なく、機材やレイアウトも自店仕様に寄せられます。

物件は駅近である必要はありません。
家賃が安い空中階や裏通りでも、配達動線が成立すれば固定費を抑えて勝負できます。

儲からない?リアルな収支シミュレーション

「手数料が高いから儲からない」と言われがちですが、実店舗と同じ原価率・同じオペレーションでやると崩れる、という意味合いが強いです。
デリバリーは接客がない代わりに、手数料と包材費が重くなるため、コスト配分を作り替える必要があります。

先に利益が残る構造を作り、売上を積むほど固定費が薄まる形に寄せると、現実的に戦えます。
まずは損益分岐点の考え方から整理します。

デリバリー特化型の損益分岐点(FLコスト)の目安

実店舗のFL(食材+人件費)60%前後を、そのままデリバリーに持ち込むと利益が残りにくくなります。
接客がない前提で、オペレーションを絞り、原価と人件費の両方を設計し直すことが必要です。

  • 食材費:25%〜30%(ロスを減らし、仕込みを単純化)
  • 人件費:15%以下(梱包・導線の最短化で圧縮)
  • プラットフォーム手数料:35%(広告費として織り込む)
  • 家賃・光熱費・包材費:10%〜15%
  • 営業利益:10%〜15%

「人件費を削れる構造」にできるかが、デリバリーの勝敗を分けます。
メニュー数を絞り、調理手順と包材を固定し、ピーク時でも崩れない運用に寄せましょう。

【実例】月商100万・200万・300万の収益モデルと手残り

家賃20万円のクラウドキッチンで、1名運営をベースにした収支イメージです。
月商100万円は固定費の負担が重く、200万円を超えると利益が残りやすくなります。

月商100万円 月商200万円 月商300万円
売上高 100万円 200万円 300万円
手数料(35%) ▲35万 ▲70万 ▲105万
食材・包材(30%) ▲30万 ▲60万 ▲90万
固定費 ▲25万 ▲25万 ▲28万
人件費 0円 ▲15万 ▲35万
営業利益 10万円 30万円 42万円

伸びた分が利益に直結するフェーズを早く作るには、固定費を増やさずに回せる上限を上げることが重要です。
売上を取りにいく前に、包材・仕込み・動線の標準化で「回る設計」を固めてください。

利益を圧迫しやすい「包材費」と手数料の扱い

落とし穴になりやすいのが包材費です。
容器が1個100円になると、注文数が増えるほど粗利を削ります。

勝っている店舗は、汎用容器に寄せてコストを抑えつつ、ロゴシールなどで見え方を整えています。
包材を増やす前に、メニューを「崩れにくい」「オペレーションが簡単」に寄せる方が、再現性が高くなります。

開業前に決めておくべき撤退ライン

赤字が続く状態で粘るほど、判断が遅れて損失が膨らみます。
開業前に、撤退・切り替えの基準を数字で決めておくことが重要です。

  • 運転資金が残り50万円を切ったら撤退・縮小を判断する
  • 半年で月商80万円に届かなければメニューと導線を総入れ替えする
  • レビュー評価が一定以下なら写真と商品設計を先に修正する

クラウドキッチンは契約条件次第で身軽に動けます。
傷が浅いうちに改善・撤退を選べることも、戦い方の一部です。

勝てる「デリバリー専用メニュー」開発

実店舗で人気でも、デリバリーで同じように売れるとは限りません。
配送時間(20〜40分)と振動を前提に、「届いた瞬間の見た目」と「食べたときの満足」を設計する必要があります。

メニューは増やすほど、仕込みが増え、包材も増え、ピークで崩れます。
最初は勝ち筋が見えるまで、商品数と工程を絞るのが安全です。

「作りたい料理」より「届いても価値が落ちない料理」

盛り付けが繊細なもの、伸びやすい麺類、温度変化に弱い料理は難易度が上がります。
レビューが落ちると順位が落ち、広告費が増え、利益が削られます。

まずは「30分後でも成立する料理」を基準に、売れ筋ができてから拡張してください。
最初の成功体験を作るほど改善も早くなります。

配送時間を前提にした商品設計の目安

  • 向いている:丼もの、煮込み、冷製(サラダなど)
  • 工夫が必要:揚げ物(通気口付き容器など)、汁麺(セパレート容器など)

容器とセットで成立する商品にすると、クレームが減り、オペレーションも安定します。
食材ロスも減るため、利益が残りやすくなります。

1つの食材で複数業態を回す「マルチブランド戦略」

1つの厨房から複数の専門店を出せるのは、デリバリーならではの強みです。
食材を共通化し、見せ方を変えると、在庫管理が楽になり、廃棄ロスも抑えられます。

  • 例:鶏もも肉で「唐揚げ」「親子丼」「ヤンニョム」などに展開する
  • 仕込みは共通化し、味付けやトッピングでバリエーションを作る

複数ブランドは「売上を増やすため」だけでなく、「食材を捨てないため」にも効きます。
限られた人員でも回る設計に寄せることが前提です。

看板のない店をどう売る?アプリ上位表示とSNS集客

ゴーストレストランは通行人に見つけてもらえません。
勝負はスマホ画面上のクリックと、注文後の体験(到着・味・見た目)です。

アプリ内順位は、写真・運用品質・転換率の積み上げで変わります。
ここを外すと、広告を入れても利益が残りにくくなります。

Uber Eats・出前館などで上位表示を狙うための基本

  • 写真:クリック率に直結するため、メニューの見え方を最優先に整える
  • 運用品質:調理時間を守る、キャンセルを減らす、梱包ミスを防ぐ
  • 転換率:商品説明を具体化し、トッピングなどで客単価を上げる

やることは派手ではありませんが、順位に効くのはこの積み上げです。
オペレーションが崩れてレビューが落ちると、回復に時間がかかります。

SNSはフォロワー数より「保存される投稿」

Instagramは静止画よりリールの方が届きやすい傾向があります。
調理の音や湯気、ソースの動きなど、食欲を刺激する要素を短尺で見せると保存されやすくなります。

保存される投稿は「あとで頼む」につながりやすく、発見タブにも乗りやすくなります。
撮影は凝りすぎず、継続できる形に落とすのが現実的です。

クラウドキッチン開業までの6ステップ

開業準備で一番もったいないのは、準備不足のまま家賃だけが先に発生することです。
最短で走り出すには、やる順番を固定し、詰まりやすいポイントを先に潰します。

特に営業許可とプラットフォーム審査は時間が読みにくいため、物件契約と並行して動く前提で組んでください。
ここが遅れると、売れる時期を逃しやすくなります。

Step1:事業計画とエリア選定

開業予定エリアをアプリで検索し、需要があるのに競合が薄いジャンルを探します。
評価件数が少ないのに一定数出ているカテゴリは、参入余地がある可能性があります。

Step2:物件・キッチン探し

受け渡しのしやすさ、配達員の導線、ゴミ処理、Wi-Fiなどを重点的に確認します。
同じ家賃でも、ここで差が出ると運用が回らなくなります。

Step3:営業許可申請とプラットフォーム登録

審査に1ヶ月以上かかることもあります。
物件契約と同時に、保健所とデリバリーアプリへの申請を進めます。

Step4:メニュー試作と写真撮影

実際の容器で配送テストを行い、崩れや温度変化を確認します。
写真はクリック率に直結するため、最低限「売れる見え方」を作ることが重要です。

Step5:包材・備品の準備とオペレーション設計

厨房内を「一歩も動かずに調理・梱包できる」配置に寄せます。
ピーク時にミスが出るポイント(容器選択、トッピング、ラベル)を先に潰します。

Step6:テストオープン

初日は知人注文などでオペレーションを検証し、崩れる箇所を直します。
慣れてきたらアプリ施策(キャンペーンなど)で注文数を増やし、回転に耐えられるか確認します。

まとめ:勝てるスタート地点と収支を先に固める

ゴーストレストランとクラウドキッチンは、業態と場所を分けて考えると判断しやすくなります。
既存店の活用、新規入居、自社物件のいずれも、勝ち筋は「固定費」と「人件費」をどう抑えるかで決まります。

  • 既存厨房を使えるなら、追加固定費を増やさずに売上を積みやすい
  • クラウドキッチンは初期負担を抑えやすい一方、家賃を回収できる設計が必須
  • メニューは配送前提で絞り、包材と工程を固定して崩れない運用を作る
  • アプリ上位表示は、写真・運用品質・転換率の積み上げで決まる

「小さく始めて改善する」前提で組めるのが、デリバリーの強みです。
まずは、勝てるエリアと収支の見立てを固めたうえで、回る設計から着手してください。

低資金でも検証しやすい選択肢としてフーシェア

ゴーストレストランを始めたい一方で、「メニュー開発に時間をかけられない」「少人数で回せるオペレーションに落としたい」と悩むケースは少なくありません。
ゼロから作り込むほど、試作・撮影・改善で手戻りが増え、立ち上げが遅れがちです。

フードライセンスシェアリングサービス「フーシェア」は、110種類以上のフードブランドから選んで導入でき、調理工程もシンプルに設計されています。
既存スタッフでも回しやすい形に寄せながら、途中でブランドの入れ替えもできるため、需要に合わせて検証を進めやすいのが特徴です。

今の厨房と人員で「何を入れれば回るか」「月商の目安がどのラインから利益が残るか」を先に確認したい場合は、情報収集としてフーシェアの概要を見ておくと判断が早くなります。

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