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飲食店の閑散期はチャンス!乗り切る具体策12選

飲食店の閑散期はチャンス!乗り切る具体策12選

「ニッパチ(2月・8月)」と呼ばれる飲食店の閑散期。客足が止まり、店内が落ち着くほど「今月の売上は大丈夫か...」と不安になるオーナー様・店長様も少なくありません。

ただ、焦って「安売り」に寄せると、ブランド価値が下がったり、利益体質が崩れたりする原因にもなります。閑散期は「暇で辛い時期」ではなく、次の繁忙期に向けて利益体質を強化する準備期間として活かすのが得策です。

この記事では、よくある精神論ではなく、明日から実践できるレベルまで落とし込んだ「12の具体策」を「攻めの集客」「守りのコスト削減」「未来への準備」の3視点で整理します。

  • 閑散期でも売上を作る「攻めの集客」の具体例【5選】
  • 赤字を防ぐ「守りのコスト削減」の具体的な分析方法【4選】
  • スタッフの士気を高める「モチベーション維持」の仕掛け【3選】

まずは、即効性の高い「攻めの集客策」から解説します。

【集客編】閑散期の「今」だからこそ仕掛けるべき具体策5選

閑散期は「守り」に寄りがちですが、売上がなければ赤字は防げません。重要なのは、閑散期を「耐える時期」ではなく「仕掛ける時期」と捉え直すことです。

客足が少ない時期は、競合も動きが鈍りやすく、少しの工夫で目立てます。ここでは、安易な値下げに頼らず、利益を確保しながら集客するための「攻めの具体策」を5つ紹介します。

1.リピーター向け「限定DM・LINE」を仕込む

閑散期は新規獲得にコストをかけづらいため、まずはリピーターへの再来店導線を整えるのが合理的です。ポイントは「割引の一斉配信」ではなく、特別感や思い出の想起で来店動機を作ることです。

送る前に、対象顧客・目的・オファーを整理します。常連様ほど「価格」よりも「関係性」で動くため、内容は短くても十分に刺さります。

  • 対象
    直近来店が途切れた常連様、誕生月・記念日が近いお客様、いつも特定メニューを頼むお客様
  • オファー
    原価の低い一品サービス、席を取りやすい時間帯の案内、入荷した限定酒・季節メニューの案内
  • 送るタイミング
    週末の2〜3日前、天候が崩れそうな日の前日、アイドルタイムの直前

2.原価を抑える「特別イベント」を業態別に設計する

閑散期のイベントは有効ですが、「全品値引き」など直接的な安売りは避けたいところです。目指すのは、客単価を維持しながら満足度を上げる、または原価を抑えつつ特別感を演出する設計です。

業態ごとに、曜日・時間・提供方法を工夫するだけで「利益」と「集客」を両立しやすくなります。

  • カフェ
    雨の日限定セット、静かな時間帯を活かした読書企画、参加費+ワンドリンク制の小規模ワークショップ
  • 居酒屋
    早い時間帯の来店動機づけ(原価の低い一品サービス等)、次回来店につながる設計(ボトルキープ等)
  • レストラン
    客足が鈍い曜日限定のペアリング提案、旬食材をテーマにしたストーリー設計の限定ディナー

イベントは「続く仕組み」までセットで考えると強いです。次回予約や、次回使える"常連様向けの特典"をさりげなく組み込みましょう。

3.SNS拡散を狙う「閑散期限定」の新メニューを作る

閑散期はオペレーションに余裕があるため、新メニューのテストや提供練習に向いています。拡散を狙うなら、季節感と視覚的インパクトを軸に「今しか食べられない理由」を用意するのがポイントです。

SNSで伸ばす目的なら、品数を増やすより「写真・動画に撮られる1品」を作る方が効率的です。提供方法に一工夫(テーブルで仕上げる演出など)を入れると、投稿される確率が上がります。

  • 寒い時期
    辛さの段階を選べる鍋、仕上げ演出があるメニュー、季節食材の限定メニュー
  • 暑い時期
    冷やしメニュー、見た目が華やかなドリンク、シェアしやすい盛り付け
  • 通年
    数量限定で話題化するメニュー、短時間提供で回転を落とさない設計

「作りたいメニュー」ではなく「売上につながるメニュー」を起点に、原価・提供時間・仕込み負荷まで合わせて設計しましょう。

4.デリバリー・テイクアウトで「アイドルタイム」を収益化する

イートインの客足が弱いなら、店外で売上を作る導線を強化するのも重要です。鍵は「デリバリーを始めること」ではなく、アイドルタイムの設備と人員をどう収益化するかという視点です。

既存の仕入れや厨房を活かしつつ、追加の負担が増えすぎない形で設計すると、閑散期の"穴埋め"が現実的になります。

  • 別業態での出店
    同じ厨房で、別ジャンルの屋号として販売し、プラットフォーム上の露出を増やす
  • 物販・テイクアウト
    日持ちする商品(ドレッシング等)や冷凍商品などを、製造時間として組み込む

店内が落ち着く時期こそ、オペレーションの試行錯誤がしやすい点もメリットです。繁忙期に戻ったときに負担が過大にならない形で「継続できる設計」に寄せていきましょう。

5.「マイクロ需要」を拾い、来店理由を作る

閑散期でも需要がゼロになるわけではありません。時期特有の小さな需要に合わせて企画を出すと、競合が動かない分だけ目立ちやすくなります。

大きな施策よりも「ターゲットが明確な小企画」を積み重ねる方が、実装しやすく利益も残しやすい傾向があります。

  • 2月の例
    バレンタイン向けの限定コース、デザートプレート、受験シーズンの応援テイクアウト
  • 8月の例
    お盆の帰省需要に合わせたオードブル、同窓会向けの小規模プラン、猛暑向けの冷やし企画

「いつ・誰に・何を」を絞り、店側の負担が増えすぎない企画から始めるのが現実的です。

【コスト編】赤字を防ぐ「経費・業務」の見直し具体策4選

閑散期に集客の手を打つのと同時に、徹底したいのが「守り」としてのコスト見直しです。売上が落ちる局面では、放置すると赤字幅が広がりやすくなります。

ここでのコスト削減は「場当たり的に削る」のではなく、時間に余裕がある今だからこそ、データに基づいて"利益が残る形"へ作り変えることが目的です。守りの施策は、繁忙期にも効果が持続しやすい点が強みです。

1.「簡易ABC分析」で"出ないメニュー"を休止する

閑散期は、メニューの採算とオペ負荷を見直す好機です。特にABC分析は、売上に貢献しているメニューと、足を引っ張っているメニューを可視化しやすい手法です。

やり方はシンプルで、直近数カ月の「売上金額」と「出数」をメニュー別に並べ、売上構成比の高い順にA・B・Cに分けます。C群の中でも、原価が高い・仕込みが重い・専用食材が必要なものは、閑散期中の休止候補です。

  • A
    売上構成比の累計が70%までの売れ筋。品切れ防止・品質安定が最優先
  • B
    累計70〜90%の準売れ筋。見せ方やセット設計で伸ばせる
  • C
    累計90〜100%の低回転。ロス・手間・在庫リスクが出やすい

2.「シフト最適化」で"削る"ではなく"投資に変える"

閑散期に「暇だから」と早上がりや出勤削減だけを行うと、スタッフの収入不安定によるモチベ低下や離職リスクにつながることがあります。重要なのは、人件費を削るのではなく「未来の売上につながる時間」に置き換えることです。

アイドルタイムを、仕込み・清掃・研修などの"準備時間"として定義し、シフト表に業務を織り込みます。「暇になったらやる」ではなく、担当と時間を決めておくと実行率が上がります。

  • 仕込み
    繁忙期に不足しがちなソース・タレ・下処理を前倒しする
  • 研修
    接客ロープレ、提供動線の確認、ミスが出た場面の振り返り
  • 改善
    顧客カルテ整備、予約導線の確認、店内POPの更新

閑散期を「教育と仕組み化」に寄せると、繁忙期のサービス品質や回転にも効いてきます。

3.水道光熱費・固定費の契約プランを洗い直す

売上が落ちる局面では、毎月必ず出ていく固定費の見直しが効きます。一度見直すと効果が継続するため、費用対効果が高い施策です。

忙しい時期ほど後回しになりがちな項目を、閑散期にまとめて棚卸しします。見直しのポイントは「現状の利用実態」と「不要なオプション」です。

  • 電力・ガス
    現契約の単価と、業務用プランを比較し、更新タイミングで切り替えを検討する
  • 通信費
    固定電話の利用実態やオプションを洗い出し、不要分を解約する
  • 月額サービス
    予約台帳、BGM、顧客管理などを棚卸しし、使っていない機能のプランを下げる

削減できた固定費は、そのまま利益として残ります。閑散期中に一度やり切ると、以降の運営が楽になります。

4.在庫管理を見直し「食材ロス」を止める

閑散期は客数が読みにくく、食材ロスが増えやすい時期です。食材ロスは「仕入れたお金を捨てている」状態のため、売上が薄い時期ほど影響が大きくなります。

感覚発注を止め、在庫を見える化し、発注の頻度と量を調整します。仕入れの回数を増やし一回あたりの量を減らすと、在庫を最小化しやすくなります。

  • 先入れ先出し
    仕入日を明記し、古い食材から使う運用を徹底する
  • 発注設計
    発注量だけでなく頻度も調整し、必要最小限の在庫に寄せる

冷蔵庫・ストックの整理は、繁忙期には時間が取れません。閑散期にルール化しておくと、通年の利益改善につながります。

【準備編】閑散期を無駄にしない仕掛け3選

閑散期の最後は「未来への準備」です。攻めと守りの施策を進めても、店内の空気が重くなるとスタッフの士気が下がり、結果としてサービス品質にも影響します。

ただし、閑散期の「暇な時間」は、繁忙期にはできない投資を進められる貴重な時間でもあります。ここでは、スタッフのモチベーションを維持しつつ、次の繁忙期につながる仕掛けを3つ紹介します。

1.スタッフを巻き込む「新メニュー開発コンテスト」を実施する

閑散期の"手持ち無沙汰"を、前向きな創造の時間に変える方法として有効なのが、スタッフを巻き込む新メニュー開発コンテストです。受け身の作業だけだと「やらされ感」が出やすい一方、企画にすると参加意欲が上がります。

テーマとルールを先に決め、試食会と採用までセットにします。採用されると、本人のモチベーションだけでなく店全体の一体感にもつながります。

  • テーマ設定
    原価率、提供時間、季節要素などの条件を決める
  • 試食・審査
    味だけでなく、オペ負荷や原価、提供動線も評価する
  • 採用と発表
    採用メニューは次の繁忙期の目玉として打ち出す

結果として、商品開発と教育が同時に進み、閑散期の時間が「未来への投資」になります。

2.他店リサーチ・繁盛店視察を「学びの仕組み」にする

閑散期はインプットに時間を使える時期です。繁忙期は目の前の対応で手一杯になり、他店から学ぶ余裕がなくなりがちです。

視察は「行って終わり」にしないのがポイントです。観察項目を決め、簡単なレポートとして共有すると、学びが店の改善に落ちやすくなります。

  • 競合の定点観測
    価格、メニュー構成、接客、SNS発信、予約導線を確認する
  • 異業種の繁盛店
    見せ方や導線、接客、空間づくりを観察し、飲食に転用する
  • 共有会
    視察の気づきを短時間で共有し、改善案に落とし込む

継続できる形に落とすと、閑散期だけでなく通年で改善が回りやすくなります。

3.大掃除とオペレーション研修で「土台」を固め直す

閑散期は、繁忙期には物理的にできない"徹底的な業務改善"のチャンスです。大掃除や研修を単なる暇つぶしにしないために、目的を共有して進めます。

環境整備は衛生だけでなく、繁忙期の提供スピードや安全性にも直結します。研修は「繁忙期に起きたミス」を起点にすると、現場が納得しやすく改善につながります。

  • 大掃除
    換気扇・グリストラップ、バックヤードの整理、店内のメンテナンス
  • 研修
    接客ロープレ、提供動線の確認、顧客カルテの整備

閑散期に土台を整えるほど、次の繁忙期での利益と品質が安定します。

飲食店の閑散期対策で「やってはいけない」NG行動

ここまで、閑散期を乗り切るための12の具体策を「攻め」「守り」「未来への準備」の3視点で解説しました。

一方で、施策に取り組む前に知っておきたいのが、焦りから選びがちな「ワーストな一手」です。短期的に客数が動いても、長期的には店の体力を奪う可能性があります。

NG行動:安易な「値下げ・クーポン乱発」がリピーターを失う理由

閑散期対策として避けたいのが、安易な値下げ・クーポン乱発です。短期的には客数が増えても、利益が残らず、長期的には店の首を絞めることになりかねません。

理由は大きく2つです。ひとつは、値下げにより利益率が落ち、価格だけで選ぶ層が増えることで、オペ負荷に対して利益が残りにくくなる点です。もうひとつは、正規価格で満足して通ってくれていたリピーターが「安売りの店」という印象を持ち、ロイヤリティが下がるリスクです。

  • 利益率の悪化
    値下げで1組あたりの粗利が落ち、忙しいのに利益が残らない状況になりやすい
  • 優良顧客の離脱
    常連様が"損をした感覚"を持ちやすく、愛着が薄れやすい

価格に手をつけるなら、誰でも使える値引きではなく、常連様向けの特典や、原価の低いサービスなど「価値を下げない設計」に留めるのが無難です。

まとめ

本記事では、飲食店の閑散期を乗り切るための12の施策を「攻めの集客」「守りのコスト削減」「未来への準備」の3視点で整理しました。

閑散期で重要なのは、焦って安売りに走ることではなく、忙しくて手が回らなかった課題を洗い出し、次の繁忙期に向けて利益体質を整えることです。すべてを同時に実行する必要はありません。

まずは「リピーター導線を整える」「メニューの採算を見直す」「在庫ロスを止める」など、自店で取り組みやすいものから着手し、閑散期を"未来への投資"に変えていきましょう。

閑散期対策の「次の一手」を専門家と考えよう!

この記事で紹介した「12の具体策」は、まず自店で取り組みたい重要なアクションです。

一方で、

  • リピーター施策やSNS運用まで手が回らない
  • 売上データを見ても、どこから改善すべきか判断が難しい
  • 閑散期だけでなく、通年で安定した売上基盤をつくりたい

といった、より根本的な課題を感じているケースも少なくありません。

たとえば、閑散期の売上対策としてデリバリー活用を検討する、あるいは閑散期でも動きやすいメニューを新たに取り入れるなど、店外売上を含めた打ち手を持つことも一案です。

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