カフェバー開業で「儲かる」開業ステップ、費用まで徹底解説

カフェバーの開業は、昼はカフェ、夜はバーとして運営できる「二毛作」によって売上機会を増やしやすい点が魅力です。空間づくりや接客で差別化しやすく、常連づくりに成功すれば安定した経営に近づけます。
一方で、カフェバーは「時間帯で客層・提供価値・オペレーションが変わる」業態でもあります。昼夜でピークが分かれ、人員配置や仕込み、在庫、メニュー設計が複雑になりやすいのが特徴です。成功には、開業前の準備精度と、開業後の数値管理・改善体制が欠かせません。
本記事では、カフェバー開業で利益を残すために押さえるべき全体像を、開業までのステップ、収益構造、資金計画、運営の成功ポイント、資格・許可の順に整理します。
カフェバー開業で失敗しないための9ステップ

カフェバーは、雰囲気やコンセプトが先行しやすい業態です。しかし、空間に投資しても「時間帯別の設計」と「日々の数値管理」が弱いと、利益が残らず資金繰りが厳しくなります。ここでは、カフェバー特有の論点を織り込みながら、開業までに必要な9ステップを解説します。
ステップ1:コンセプト設計と事業計画
成功するカフェバーは、最初に「誰に・どの時間帯に・何を提供するか」を具体化しています。昼はコーヒーと軽食中心で回転率を取るのか、滞在型で客単価を上げるのか。夜は一人飲み需要を取りに行くのか、グループ利用や二次会を想定するのか。時間帯ごとに提供価値が変わるため、コンセプトは「昼夜セット」で設計します。昼夜のターゲット設計が曖昧だと、メニューも空間も発信もブレて、固定客がつきにくくなります。
事業計画書では、時間帯別の売上・原価・人件費を分けて試算します。特に、カフェバーは「昼は客数が出るが単価が低い」「夜は単価が出るが人件費が上がりやすい」などの傾向があるため、営業スタイルに合わせた利益計画が重要です。
ステップ2:物件選定と商圏分析
物件は、売上だけでなく運営難易度にも直結します。カフェバーの場合、昼夜で人の流れが変わるため「昼は強いが夜は弱い」「夜は強いが昼が弱い」といった商圏特性を見落とすと、どちらかの時間帯が赤字化しやすくなります。
商圏分析では、周辺のオフィス・住宅比率、夜間の滞在人口、競合(カフェ・バル・バー)の価格帯と客層、駅からの導線を確認します。家賃の安さだけで選ぶのではなく、狙う客層が「その時間帯に存在する立地か」を基準に判断します。
ステップ3:資金調達
カフェバーは内装と設備のバランスが難しく、初期費用が膨らみやすい業態です。自己資金で賄える範囲と、不足分の調達方法(融資・補助金・リース等)を整理し、資金繰りが破綻しない計画を作ります。
日本政策金融公庫の創業融資を検討する場合は、事業計画書の精度が重要です。特に、時間帯別の売上・稼働・人員計画が合理的かどうかは、説得力に直結します。
ステップ4:内外装工事
カフェバーは「空間が価値」と言われる一方で、投資の回収が課題になりやすい業態です。写真映えだけを優先すると、工事費が上がる割に売上へつながらないケースもあります。
昼夜で印象を切り替えるなら、照明やBGM、可動式の席レイアウトなど「運営で変えられる要素」を活用すると、過度な造作を避けつつコンセプトを表現しやすくなります。動線(配膳・洗い場・ドリンク提供)も含めて、働きやすさを優先して設計します。
ステップ5:資格の取得と申請
カフェバー運営には、資格・許可が必須です。最低限必要なのは食品衛生責任者の設置と、保健所への飲食店営業許可申請です。これらが整っていないと開業自体ができません。
さらに、深夜0時以降に酒類提供を行う場合は、警察署への深夜酒類提供飲食店営業開始届出が必要になります。営業時間設計とセットで、どの手続きが必要かを早めに確認しておくことが重要です。
ステップ6:厨房設備の準備
厨房設備は、オペレーション効率と品質を左右します。カフェバーは、ドリンクとフードの両方を扱う分、設備が増えやすく、結果として初期費用と固定費が上がりがちです。
開業初期はメニュー数を絞り、仕込み・提供工程を短くすることで、人手不足でも回る体制を作りやすくなります。居抜き物件の設備を活用できる場合は費用を抑えやすい反面、老朽化や容量不足がないかも確認します。
ステップ7:メニュー開発と仕入れ先確保
メニューは、差別化と収益性を同時に設計する必要があります。カフェバーでは、カフェタイムは客数が出やすい反面、単価が上がりにくい傾向があります。バータイムは単価が取りやすい一方、提供スピードやスタッフの接客品質が満足度に直結します。
ドリンクは原価率が低く利益を支えやすい一方で、フードは滞在時間や追加注文に影響します。「看板になるメニュー」と「利益が残るメニュー」を分けて設計し、粗利構造を意図的に作ることが重要です。原価計算(FLコスト)と合わせて、仕入れ先の安定性・ロスの出やすさも含めて検討します。
ステップ8:スタッフ採用と教育
カフェバーは、接客が売上に影響しやすい業態です。特に夜の時間帯は、会話・距離感・提供テンポなど、スタッフのスキルが常連化に直結します。
一方で、人手不足は慢性的になりやすく、採用が計画通りに進まない前提で設計しておく必要があります。少人数でも回るオペレーション、教育の標準化、ピーク帯に合わせたシフト設計をセットで作ります。
ステップ9:集客・プロモーション
集客は開店後ではなく、開店前から仕込むのが基本です。カフェバーは「昼と夜で魅力が違う」ため、発信も時間帯別に設計します。昼はコーヒー・軽食・空間、夜はお酒・フード・過ごし方など、訴求軸を分けると伝わりやすくなります。
SNSでは、メニューだけでなく、仕込み風景や試作、空間づくりの裏側を継続発信することで、開店前から期待値を高めやすくなります。Googleビジネスプロフィールの整備(写真・営業時間・メニュー・投稿)も、来店確度の高い流入につながります。
ぶっちゃけ儲かる?カフェバー経営の「収益性」とビジネスモデル

カフェバーは、原価率の低いドリンクを軸に粗利を作りやすく、二毛作によって売上機会を増やせる点が強みです。一方で、昼夜でオペレーションが変わるため、人件費が膨らみやすく、数値管理が甘いと利益が残りません。
収入源と利益率の目安
収入源は、昼のドリンク・軽食・スイーツ、夜のアルコール・フードが中心です。一般的な飲食店の営業利益率は5%〜10%程度と言われ、10%を安定的に超える体質を目標にすると、投資回収と資金繰りが安定しやすくなります。
カフェバーでは「昼で固定費を回収し、夜で利益を積む」設計が取りやすい反面、どちらかが不振だと全体が崩れます。時間帯別の損益を把握し、弱い時間帯に対策を当てられる状態が重要です。
「儲けやすい」と言われる理由
カフェバーが儲けやすいと言われる背景には、ドリンクの粗利が高いこと、昼夜でターゲットを変えて売上の取りこぼしを減らせることがあります。特に、追加注文が出やすい設計(つまみ、デザート、セット提案)ができると、客単価が安定しやすくなります。
ただし、メニューが増えすぎると仕込みが複雑になり、ロスと人件費が増えるため注意が必要です。利益を伸ばすには、売れ筋と粗利の両方を見ながら、メニュー構成を最適化します。
「儲かる」仕組みづくり
儲かる仕組みの中心は、FLコスト(食材費+人件費)の管理です。カフェバーは時間帯でオペレーションが変わるため、日次の売上だけでなく、時間帯別の売上・人件費・原価を見て改善する必要があります。「忙しいのに利益が残らない」状態を放置しないことが、黒字化の最短ルートです。
また、常連がつくと売上が安定しやすい一方で、常連比率が上がりすぎると客単価が伸びにくくなる場合もあります。新規とリピートのバランス、イベントや貸切の活用など、売上の波を平準化する工夫が有効です。
一体いくらかかる?カフェバー開業に必要な「資金計画」のすべて

資金計画は、開業後に資金ショートしないための土台です。カフェバーは内装と設備の投資額が大きくなりやすいため、初期費用と運転資金を分けて管理します。
初期費用の内訳と相場
初期費用の主な内訳は、物件取得費(保証金・礼金等)、内外装工事費、厨房設備・什器、備品、広告宣伝費です。スケルトン物件で大きく作り込むと1,000万円を超えるケースもあり、居抜きを活用できれば500万円程度まで抑えられることもあります。
カフェバーは雰囲気づくりが重要なため、内装に投資しやすい反面、回収計画が甘いと負担になります。投資額と想定売上、回収期間をセットで考えます。
運転資金の目安
開業直後は売上が安定しない前提で、最低でも3〜6か月分の運転資金を確保しておきます。家賃、人件費、光熱費、仕入れなど、固定費が赤字でも支払える体力が必要です。
特にカフェバーは、夜が伸びるまでに時間がかかるケースがあります。昼夜どちらかが想定より弱かった場合のシナリオも用意しておくと、意思決定が早くなります。
初期費用を抑えるテクニック
居抜き物件の活用は、初期費用削減に有効です。設備は中古やリースを活用し、開業初期は必要最低限に絞って、売上が見えてから追加投資する方法もあります。
また、補助金・助成金(自治体制度、小規模事業者持続化補助金など)も選択肢になります。制度は条件や公募時期があるため、開業スケジュールに合わせて早めに情報収集します。
開業後に差がつく!カフェバー経営を「成功」させる5つの秘訣

カフェバー開業はスタートラインです。昼夜の切り替えがある分、運営の改善余地が大きく、努力が成果に直結しやすい一方、放置すると赤字が固定化しやすい側面もあります。ここでは、長く続く店づくりのために重要な5つの視点を整理します。
秘訣1:コンセプトとターゲットの明確化
ターゲットが明確だと、メニュー、価格、空間、接客のすべてに一貫性が出ます。カフェバーは「何でもできる」ように見えて、実際は「何でも屋」になると選ばれにくくなります。昼夜それぞれの主役を決め、ブレない運営を行います。
秘訣2:独自の強みを磨く
強みは、看板メニューだけではありません。空間、音楽、照明、会話の距離感、過ごし方の提案など、体験価値が強みになる業態です。特に夜は、スタッフの接客がそのままブランドになります。
秘訣3:シビアな数値管理
どんぶり勘定は、カフェバーでは特に危険です。昼夜で売上が偏るため、日次だけでなく時間帯別の売上、客単価、原価率、人件費率を追い、改善ポイントを特定します。
秘訣4:オンラインとオフラインを駆使した集客戦略
Instagramなどの発信では、昼夜それぞれの魅力が伝わる投稿設計が重要です。Googleビジネスプロフィールの整備も、来店意欲の高い層に届きやすくなります。近隣導線(近隣店舗、ホテル、オフィス)との相性が良い場合は、オフライン施策も併用します。
秘訣5:トレンドの変化に対応する柔軟性
カフェ需要、夜の外食需要、キャッシュレス、予約導線、テイクアウトなど、環境は変わり続けます。コンセプトの核は守りつつ、提供方法や販路は柔軟に変える姿勢が、長期安定につながります。
【必須】カフェバー開業に必要な「資格・許可」

カフェバーの開業・運営には、法律で定められた資格と許可が必須です。不備があると営業開始できないだけでなく、行政指導や営業停止につながるリスクもあります。開業準備の中で、漏れなく確認しておきます。
取得が必要な「資格」
まず、食品衛生責任者は各店舗に1名必ず配置が必要です。講習を受講することで取得できます。次に、防火管理者は収容人数(従業員含む)が30人以上の場合に必要となります。店舗面積や形態によって該当条件が変わるため、事前確認が必要です。
申請が必要な「営業許可」
カフェバーの開業では、保健所の「飲食店営業許可」が必須です。図面確認と実地検査を経て許可が下ります。これは「店舗で飲食営業をしてよい」という許可です。
加えて、深夜0時以降も酒類提供を行う場合は、保健所の許可とは別手続きとして、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を行います。深夜営業を予定しているかどうかで必要書類が変わるため、営業時間を先に確定させると整理しやすくなります。
まとめ

カフェバー開業を成功させる鍵は、事前準備と運営改善の両輪にあります。昼夜二毛作の強みを活かしつつ、時間帯別の設計、人材・数値管理、集客の波への対応を積み重ねることで、利益が残る体質に近づきます。
また、カフェバーは厨房や仕込みの体制が整っているぶん、売上の柱を増やしやすい業態でもあります。例えば、営業時間外やアイドルタイムを活用し、ゴースト・バーチャルレストランを組み合わせて売上機会を拡張する考え方も選択肢になります。
自店舗の体制で無理なく回る形が作れるか、前提を整理したうえで相談ベースで確認するのが近道です。